エリオット・アーウィット 独占インタビュー

2009年 5月 14日 11:50 Category : Art

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——アーウィットさんのとらえる決定的瞬間は、観る側をその場にひきこむかのような魅力にあふれています。さらに言えば、とてもハッピーなシチュエーションが多いですね。

アーウィット 自分が観たものを撮っているだけなので、意図的にハッピーな瞬間を選んでいるのではありません。でも基本的に楽観的な人間なので、そういう結果になるのではないでしょうか。自分の写真のスタイルにすごく影響を与えているのは、戦後直後のイタリア映画、ネオリアリズムと言われる、ヴィットリオ・デ・シーカやロベルト・ロッセリーニなどの作品ではないかと思っています。


——普通の人々の営みをあたたかい目線でとらえる姿勢が共通しているのでしょうね。キスする男女をバックミラーでとらえた、フェアグラウンド・アトラクションのアルバム・ジャケットを飾った有名な写真がありますが、あれは鏡を意図的に写真に取り入れることを試みたのでしょうか。

アーウィット まったく意識していません。あのジャケットを飾った写真は、写真を撮ってから25年も経ってネガで発見したものです。今回の展示にも一点バックミラーの写真がありますが、あれも50年以上前に撮ったもの。発見したのは写真集の準備のためにネガを見直したときですから、写真集発売のほんの数ヶ月前です。コンタクトシートを何年も経ってから見直したときに、僕はこんな写真を撮っていたんだなと思うことが多くありますね。

——それは驚きました。撮った瞬間に「これは良い写真になる」と思うわけではないのですね。

アーウィット それはないですね。「騙された」と思うことの方が多い。良い写真が撮れたと思っても、そうでないことの方が多いんですよ。

——ところで、あなたが最初に手に入れたライカについて教えてください。

アーウィット 「Leica IIIc」です。1949年に手に入れました。それまではローライの二眼レフを使っていましたね。最初にカメラを手にしたのは15歳のときで、4×5のビューカメラでした。


——ライカを持ち始めて、何か作品に変化はありましたか。

アーウィット 基本的にフォーマットが違うだけで撮る写真は変わりません。それまでは6×6だったのが35mmになったということだけ。今回の写真展の作品は、すべて個人的に撮った写真です。個人的に撮る写真は、この60年間に撮る対象は変わっていないので、スタイルやフォーマットが変わったとは言えません。依頼されて撮影をする、いわゆる仕事の写真については、その仕事の内容に応じていろんなカメラを使っていますので、そういう意味ではその都度スタイルは変わるとも言えます。

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