今週末見るべき映画「地下鉄のザジ」

2009年 9月 25日 00:00 Category : Art

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 もう40年以上前になるだろうか、「地下鉄のザジ」という、ふしぎな映画を見た。パリを舞台に、地下鉄に乗るのが楽しみな少女ザジと、大人たちがくり広げるドタバタ劇である。筋書きは、あってないようなもの、脈絡はなく、支離滅裂な出来事が相次ぐ。


 映像は、早送りやスローモーション、逆回しなど、変化に富む。

 ザジは少女とは思えないほど、的確に大人を批判、ことの本質を言い当てる。このザジをめぐって、大人たちがめまぐるしく動き回る。訳が分からないけれど、全編これドタバタ、ナンセンス。もう、笑って笑って見ていたように思う。

 原作は、かずかずの実験小説で知られるレーモン・クノー。映像化は不可能といわれた小説を、自由闊達、遊び心あふれる映画に仕上げた。

 監督はルイ・マル。サスペンスたっぷりの「死刑台のエレベーター」でデビュー、ボートでの美しいラブシーンで有名な「恋人たち」を撮った人である。いずれもモノクローム、映画史に残るヌーヴェルヴァーグの傑作である。

 ルイ・マルの3作目、初のカラー作品が、1960年の「地下鉄のザジ」で、このほど新しいプリントで公開される(ザジフィルムズ配給)。

 ザジはおてんば、おしゃまな少女である。ことあるごとに「ケツくらえ」を連発する。まるで大人のような口調で大人を批判し、からかう。逃げるザジに追う大人。それがやがて、大人どうしの勝手な都合で、大騒動になっていく。まことに辛辣、ザジの目を通して、堕落した大人たちの痴態をあぶり出すかのようである。

 サイレント時代から伝統のドタバタ喜劇を踏襲、しかも、いろんな技術を駆使したシュールなシーンの連続である。何度見てもおもしろい。作られて50年の時間が経過しているが、今見てもまったく色褪せていない。これは、永遠に新しい映画なのである。

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