ダ・ヴィンチからダミアン・ハースト「医学と芸術展」

2009年 12月 16日 12:30 Category : Art

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 「医学と芸術」と聞くと、少々遠い存在なのではと考えがちだがそうではない。現在、東京・六本木の森美術館にて開催中の「医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る」を見ると、いかに古い時代から人々が人体や生命へと関心を示していたかがわかる。そして、人間が持つ生きることへの執着や身体のメカニズムへの探求心があったからこそ、医療技術はここまで発展してきたのだ。

 この展覧会はイギリスのウエルカム財団と共同企画で行われている。1936年に創設された財団で、製薬業で成功したヘンリー・ウエルカム卿が蒐集した「人間と医学に関するあらゆる事物」の200万点を超える世界有数のコレクションを所有している。

 第1部は「身体の発見」。古くから人びとが美の対象として関心を持ち、素描や彫刻のモチーフとして扱われた身体の外側。そして、簡単には覗くことができない身体の内側に広がる世界。学問や美のモチーフとして扱われていた身体をめぐる作品がずらり並ぶ。


 人体の解剖図はもちろん、筋肉図、妊婦の解剖図が並ぶ。刺激的なものもあるが、総じて美しい。レントゲンなどがない時代にどうやってこれだけの解剖図を描いていたのだろうか。解剖図の歴史は古く、古代エジプトの時代、紀元前17世紀頃のパピルス(エドウィン・スミス・パピルス)に、すでに解剖図が描かれている。

 今回の展示では、16世紀に科学的な解剖図の基礎を作ったとされるアンドレアス・ヴェサリウスの『人体の構造について』や、上写真の右に写っている18世紀に美しい等身大の人体解剖図を描いたジャック=ファビアン・ゴーティエ・ダゴティという解剖図の歴史に名高い作家の作品を展示している。

 手前の展示ケースに入っているのは、1570-1700頃の鉄製の関節模型。その横に添えられている本は、ファブリキウス・アプ・アクアペンデンテの整形外科器具『Opera Chirurgica(外科概説)』というもので、この模型そっくりの版画が載っている。この本を見て模型を作ったのではないかと推察される。

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