伝統と革新、上出・九谷・惠悟展「九谷焼コネクション」

2010年 1月 14日 10:15 Category : Art

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 300年以上の歴史を持つ九谷焼は石川県を代表する工芸品である。上出長右衛門窯は現在も多くの窯元が活動の拠点を置く南加賀、能見市に窯をかまえる。

 日本絵画における最大の画派、狩野派の指導を受けて生まれたという、青や緑、赤という色と、豪華で大胆な構図の絵柄をもった古九谷。筆さばきの生き生きとした水彩画のように流麗で、色彩に用いられるその色の数から「五彩」といわれる艶やかな上絵。


 幻想的とも言えるような九谷独特の絢爛華麗な絵付けは、ろうそくの微かな灯りのもとでも盛られた料理を美しく見せるための工夫とも、地場で採取される決して良質とはいえない陶石を原料としていたために焼物の表面にわずかに残る、ホクロを隠すために施されたものでもあるとも云われている。

 上出長右衛門窯は創業以来、お煎茶の道具や、割烹食器などのおもてなしの焼物を中心に自社一貫製造により手がけてきた窯元だ。焼物の歴史は、東洋から西洋へ、そして西洋から東洋へ、水が高いところから低いところへ流れるように、その技法や焼物に施される装飾は相互に伝播してきた。九谷焼でも独自の技法を磨くと同時に、彩色に西洋絵の具を使用するなど、機能や実用に優れたものであれば因習に固執することなく、新しい技を採り入れてきたそんな歴史を持っている。

 今回の展覧会では会場受付をはさんで両側に、少々趣のことなった作品が並ぶ。会場に入り最初に目に飛び込んでくる作品である、手描きの看板の下に置かれた天秤の両側の皿の上には、成形の際に口径と高さをはかる、トンボと呼ばれる小さな道具が載せられている。


 一方に実際の作陶に使用される竹製のトンボ、片方にそれを模すように新たに作られたアートピースとしての磁器製のトンボ。二つのトンボが載った秤は微妙なバランスを保っている。そこには工芸とアートのあいだで絶妙なバランス感覚をもちながらもの作りをする、上出惠悟のスタンスが表明されているといっていいだろう。

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