落合多武個展「スパイと失敗とその登場について」

2010年 7月 1日 15:50 Category : Art

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 ニューヨーク在住のアーティスト・落合多武氏の個展「スパイと失敗とその登場について」が東京・青山のワタリウム美術館で開催中だ。


 1967年生まれの落合多武氏は、2007年水戸芸術館の「マイクロポップの時代」展、その後2009年原美術館の「ウィンターガーデン」が記憶に新しい。

 「マイクロポップ」は、美術評論家の松井みどり氏による言葉で、「マイクロポップとは、制度的な倫理や主要なイデオロギーに頼らず、様々なところから集めた断片を統合して、独自の生き方の道筋や美学を作り出す姿勢を意味している」(『マイクロポップの時代:夏への扉』より引用)。

 いわゆるゼロ年代と呼ばれるアーティストの一人である。ユルいドローイングや、言葉を用いた作品、映像、彫刻など、スタイルはさまざま。どの作品にも通底しているのが、「概念のズレ」である。気持ちよくズラされるのである。本人の言葉を交え、作品をいくつか紹介したい。

 2階から4階までの3フロアを使った展示で、各階にテーマが設定されている。2階は「地球の人工物」、3階は「明るい部屋」、4階は「魔術っぽい部屋」。

「建築、彫刻または何か」

 まずは2階から。展示室をぐるりと取り囲むようにドローイングが貼られている。描かれているモチーフは、実際に存在する図書館や官公庁のビル、有名建築家による建物、彫刻… などに混じってお墓が出てきたり、刑務所が出てきたり、KGBの本部が出てきたり、盲学校の側に図書館があったりする。その建物が建てられた場所やその建物にいるであろう人びと、お墓の中で眠っている人びと、建物の機能など、いろいろな意味が頭に渦巻き、いつのまにか絵同士を関連付けて見ている自分に気がついた。

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