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今週末見るべき映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」

2010年 8月 20日 18:45 Category : Art

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 2004年、オランダのアムステルダム国立美術館(ライクス・ミュージアム)が建て替えられることになる。レンブラント、フェルメールをはじめ、多くの有名な画家の作品を多く所蔵する、立派な美術館である。

 作品が増える。増築する。館内が迷路のようになる。老朽化する。そして、改築となる。レンブラントやフェルメールが、日本をはじめ、海外に貸し出されているのは、改築だからこそである。

 「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」(ユーロスペース配給)は、女流のドキュメンタリー作家、ウケ・ホーヘンダイクが、この美術館の建て替えをめぐって、多くの関係者にインタビューする。美術館を取り巻く、立場の異なる人たちの、さまざまな意見が飛び交い、改築話が二転三転、こじれていく。これを、まことに劇的な編集で、手際よく、あざやかに見せる。

© PvHFilm 2008

 館長は、ロナルド・レ・レーウ。当初、館長は、美術館は王室のものではない、市民のもの、と意欲満々、改築の指揮をとる。ところが、市民から、役人から、いろいろと反対の声があがり、やがて嫌気がさしたのか、辞任を決意する。

 建築家は、国際コンペで選ばれたのに、市民団体から、隣接する新しい建物の高さや、自転車の通路をめぐって、修正を迫られる。一般市民は、「通路を救え委員会」なるものを結成して、広い自転車通路を確保するよう、建築案に異議を唱える。

 学芸員は、それぞれの専門があって、思いはさまざま。新しい展示企画では、いささか、手前味噌に、自分の夢、抱負を語る。役人は、膨大な予算に、ことごとく渋い反応ばかり。

 それぞれが、それぞれの立場を主張する。悪気があっての発言ではないと思われるが、これが民主主義と言わんばかりの、自己中心の発想、発言が目立つ。まあ、オランダ人の特徴と言ってしまえば、それまでの話なのだが。



 ノンフィクションなのに、ここで展開する、それぞれの主張は、まさに、人間の本質を描いて、ドラマチックですらある。静かな怒りもあれば、妥協のない議論に、苦笑せざるをえない人もいる。美術館に深い思い入れを感じる人もいれば、自転車での円滑な通行を要求する人たちもいる。

 単なる、美術館改築のドキュメントとして撮られていながら、いつまでたっても、話がまとまらない。なまじの劇映画より、人間の本音、感情が飛び交い、エキサイティングでもある。

 チラシが、なんとも遊び心に溢れている。ヨハネス・コルネリス・フェルスブロンクの「青い服の娘」に、ヘルメット、作業チョッキを着せている。一瞬、これが元の絵かと思うほど。

 ルーブルやプラドなど、有名な美術館には、多くのエピソードがあるが、アムステルダム国立美術館も例外ではない。畳みかけるように、この美術館の全貌が露わになっていく。改築は、2008年11月にスタートしたけれど、いつ完成するか、まだ未定のようである。

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