汗を流し、山道を分け入る作品体験:瀬戸内国際芸術祭

2010年 10月 12日 21:00 Category : Art

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 フェリーが到着する、家浦港からバスに乗って最初に辿り着くのが硯(すずり)地区。森万里子氏の作品へ。


 バス停を降りると、小さな受付小屋がありその横に山へと続く小道がある、その中を分け入って作品まで向かっていく。ぬかるむこともある山道なので、靴は泥で汚れてしまうかもしれない。そんな山道を10分くらい登る。木々に覆われ陽射しは遮られている場所なので、風が吹けば涼しい場所だが、立ち止まると汗が流れてくる。



 しばらくすると、ふっと視界が開けてくる。そして目の前にはそれほど大きくない池があり、真ん中にトーテムポールのようなオブジェが。「トムナフーリ」である。

「トムナフーリ」森万里子

 「トムナフーリ」とは、古代ケルトにおける霊魂転生の場のことを差し、その場所で霊魂は転生までの時間を過ごすと考えられていたという。また、古くから人びとはスタンディング・ストーン(石柱)を建て、それを神や人に見立てていたという史実に触発され、この作品を作った。

 作品は高さ3mのガラス製の立体。神岡宇宙素粒子研究施設(スーパーカミオカンデ)のデータと接続している。スーパーカミオカンデでは、星が超新星爆発を起こした時に発せられるニュートリノが発する光を検出しており、その光の受信に応じてこの立体の中に埋め込まれたLEDライトが光る仕組みになっている。グリーンは太陽ニュートリノ、ブルーは大気ニュートリノを表す。もうひとつ特別プログラムとして、超新星から検出されるニュートリノバーストが起きた時にはマルチカラーに光が切り替わるという。

 星が死ぬ瞬間、太陽からのエネルギー、大気の活動をとらえる「トムナフーリ」。日が沈む夕暮れあたりに来ると、星の死を知らせる光とともに、ガラスが美しく輝きそれが水面に映り混む、そんな美しい死と再生の場面に出会うことができるだろう。

※本記事はiPadに最適化された無料のアプリ「エキサイトイズム for iPad」でも読むことができます。

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