汗を流し、山道を分け入る作品体験:瀬戸内国際芸術祭

2010年 10月 12日 21:00 Category : Art

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 唐櫃岡(からとおか)地区のバス停からほど近くに「唐櫃の清水」という湧き水がある。そこは「霊泉越水」とも呼ばれ、弘法大師が地面を掘って湧き出たと言われている。この水場は清水神社社殿、清水観音堂と一体となっており、花崗岩で築かれた水場は古くから、飲料、洗濯用に使われ、文字通り井戸端会議の場所として島民たちの憩いの場になっている。


 青木野枝氏の作品「空の粒子/唐櫃」は、この神社のふもとに設置された。青木氏は作品についてこう語る。

「最初にこの清水を見たときの感動が忘れられない。水が空から降ってきてまた上がる、その循環する水のイメージを形にしました。人びとが生きて行く上で欠かせない「水」が湧き出るこの場所は、島の人たちにとって神聖な場。その清水に最大の尊敬を込めて作品作りをしています。もちろん作品は恒久展示に耐えうる強度で作ってはいますが、会期終了後に住民の方々と相談をし、その答えによっては外すことも」

「空の粒子/唐櫃」青木野枝

 鉄という素材を用いて、水の粒子や流れを表現した非常に繊細だが芯の強い作品だ。作品に辿り着くと、青木氏自らスイカを切り訪れる人に振る舞っていた。それも豊島の人びとに倣ってのことだという。

青木野枝氏

「豊島の人たちは本当にあたたかく私たちを迎え入れてくれました。その島に流れている接待の文化をこの作品の前でも感じてもらえたらうれしいです。この場所は島民が集まっておやつでも食べながらいろいろな話をする場所。そういう憩いの場になってもらえたらうれしいです」

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