Interview:チェルフィッチュ×トラフ建築設計事務所、舞台という空間

2011年 2月 26日 18:00 Category : Design

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──今おっしゃったようなことで、対トラフの鈴野さんとの仕事というのはどうですか?ここ数年一緒にやっていて。

岡田:パッと出てきたアイデアのとんでもない鮮やかさ、っていうのは、「フリータイム」の時がいちばんあったんですよ。今回のはそういう意味で言うと、特にそういう鮮やかさはなかった、だけど、結果的にこんなにうまくセットを使えるとは思っていなかった。このセットの持ってる、アフォーダンスの力とでもいいましょうか、それはものすごかったですよ。最終的には、セット自体のヴィジュアルが良い悪いっていうことは、比較的大切じゃないんですよね。そのセットがクリエイションをどれだけ刺激してくれたか、総合力に関わったか、というのもすごく大事。もちろん、それに刺激される力が我々の側にあるか、というのも大事。

 その意味では今回のセットはこれまででいちばんよかった。そして、それは明らかにここまで何度か一緒にやってきたことの蓄積の成果だと思ってます。あのパフォーマンスはこのセットありきですよ。チェルフィッチュの芝居は必然性のない動きばかりで、この台詞を言う時にはこの動きでなければいけない、というのは一切ないわけですから(笑)。

チェルフィッチュ『ゾウガメのソニックライフ』2011年2月1日 神奈川芸術劇場

鈴野:そうですよね(笑)。意味のない動きをどれだけつけていくかというのが面白いんです。だから、舞台に置いた椅子や机も、当たり前ですが本来の使い方とはまったく違うものとして扱われる。突然何の脈絡もなく俳優が椅子を持ち上げたり。

岡田:そう。役者が突然椅子を持ち上げるけど、あんなの何の意味もないですよ。もっといえば、そのシーンで椅子を持ちあげる役者は、あのシーンでは別にいなくても支障はない。でも、その場にいなくていい人が一番目立つ、っていうコンセプトで作ったんですよ。常に五人の役者がはっきりと存在し続けているということを目指したんですね。たとえば、せりふ喋っている役者は、もちろん不可欠ですよね、「僕は彼女のことを思うと切ないです」っていうせりふを言っているとする。すると、そのせりふいってる人の隣りでボールをいじりながら座っている男がいれば、観客はその男が今せつない気持ちになっているかな、と思うわけですね。で、もう一人別に女優が舞台上にいれば、その女優が、彼が思い描いている彼女なのかな、と思う。すると今いった三人は、まあ舞台上にいる意味がありますね。

 で、今回の舞台でやろうとしたのはその一歩先ですね。役者があと二人いる。その二人には特に役割がない。でも、むしろその2人こそが舞台上でのプレゼンスをガンガンあげていく。そうしたら自由な演劇になるって思って、やったんです。

鈴野:でも今回は本当に面白く使ってもらいました。確かに「フリータイム」は、僕からの一方的な提案みたいなものが強かったんだけど。何度かお仕事をさせていただいて、僕も岡田さんの反応を待つというか後手にまわるというか。お互い後手後手に(笑)。僕はいつも演劇的な頭にはなっていないんだけど、何度かやっていると、劇場の空間だからこそできることを見つけられるのですごく面白いです。建築ってすごく残るものって言うけど、演劇の一瞬も人の頭の中ではものすごく記憶に残るものになっている。建築で50年でも100年でも残り続けるけど、人の記憶には残らないものもいっぱいありますしね。岡田さんは舞台のどういう点を面白いと感じますか?

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