Interview:三保谷友彦 「倉俣史朗を語る」

2011年 4月 9日 10:34 Category : Design

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―それから長年にわたって、さまざまなお仕事を倉俣さんとされてきたわけですね。数えきれないほどのやり取りがあったかと思いますが、もっとも印象に残っていることを教えてください。

 いろんなことがあったからなぁ…。今回の「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展は1981年以降の家具の仕事が中心だけれども、それ以前の倉俣さんの作品、とりわけインテリアの仕事はインパクトがあった。たとえば、赤坂の「クラブ・ジャッド」(1969年)。倉俣さんはここのコンセプトをこう教えてくれた。「お酒を飲みに行くところは、ちょっとした期待感と後ろめたさがあわさった、色気のある場所。お寺にお参りする時、暗いうっそうとした森を通って山を登り、本堂に神々しく光を感じる。そんな風に、一度、真っ暗闇に落とす。そして、行く先に音と光を感じながら進んでいくんだ」と。この店は入口にたどり着くまでに真っ暗な回廊を回りこんで進むようになっていて、距離感と時空間を超え、大人の世界に入っていくような、背中がゾクゾクするような期待感を持たせてくれる。

「クラブ・ジャッド」(1969年)

「クラブ・ジャッド」(1969年)

―写真でしか見たことはありませんが、そのかっこよさは伝わってきます。

 でも、本当に入ってみないとわからない。今考えるとアーティストのジェームス・タレルの、光の表現にも感じるね。もちろん倉俣さんは彼よりも先にやってたからね。インテリアデザインって、音楽やファッションとかが、全部入っているんだと…カッコイイなぁと思った。結局、きちっとしたコンセプトがあると、何か物理的に「この形はつくれない」とぶつかっても、すぐに戻って、次に動くことができる。基本的な考え方がはっきりしていれば、それに沿って考え直せばいいわけだから。でも、最近のデザイナーは形から先に入ろうとすることが多い気がするね。デザインは「コンセプトが大事だ」と倉俣さんにはそう教わった。

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