特撮にみる職人の技術と匠の技。『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』

2012年 8月 1日 12:00 Category : Design

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 なかでも注目したいのはゴジラの美術スタッフから特撮美術に関わり、初期円谷プロ作品の意匠世界を構築した成田亨氏が描いたウルトラマン創造にいたるオリジナル原画類の数々。『ウルトラQ』(1966年)『ウルトラマン』(1967年)、『ウルトラセブン』(1967年)、『マイティジャック』(1968年)のキャラクターや怪獣、メカ、防衛隊、基地など、セットのデザインを、手がけその後の特撮やアニメーションに大きな映像を与えた成田亨氏は、子どもが見るテレビ番組であることを意識した上で、大人のモラルを踏まえた存在としてのキャラクターのデザインなどを手がけていたといわれる。そこには高い技術でつくられた映像作品を通して、子供たちを楽しませ、未来を夢にみさせる役目をになった大人の責任感のようなものを感じる。特撮美術家やデザイナーとしてだけでなく、優れた美術家として作品も残す成田氏が、パステルやペンで描いたウルトラマンの絵画も必見だ。

ウルトラマン(飛行シーン用)「ウルトラマン」(1966年)

横浜赤レンガ倉庫「大決戦!超ウルトラ8兄弟」(2008年)

 歴史的な日本の特撮のアーカイブ模型資料としては、弾丸の形態をした小松崎茂氏デザインのドリルメカ、円谷プロによる『宇宙大戦争』、テレビシリーズとして放映された『日本沈没』(1974年)の潜水艦、メカゴジラシリーズ第二弾『メカゴジラの逆襲』(1975年)のメカゴジラ2 スーツ、ゴジラ以下の怪獣オールスター総出演の娯楽作『怪獣総進撃』(1968年)、フジテレビと円谷ブロがつくった大人向けSFアクション『マイティジャック』 (1968年)のMJ号など、貴重な模型や資料が一堂に集められた。

 また随所に掲出された、館長である庵野秀明監督によるテキストも見どころのひとつ。ミニチュア模型を使用した特撮ものとして最も知られるであろう『ウルトラマン』シリーズでは、宇宙からの侵略者の話に特化したウルトラセブンについてや、日本の土着文化を同時代の文化を反映しながら描いた『帰ってきたウルトラマン』(1971年)の作品に描かれた思想的な背景まで、分かりやすく知ることができる。

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