自然との共生を象徴する、小鳥ロボットPolly。松井龍哉氏インタビュー

2012年 10月 15日 12:00 Category : Design

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 ロボットデザイナー、松井龍哉氏のデザインの進化を多彩なプロダクトとともに紹介する「花鳥間 松井龍哉展」が、銀座のポーラ ミュージアム アネックスにて開催中だ。同展では最新作の小鳥ロボット「Polly」も発表。まるで花鳥画を眺めるような、自然と調和した小さなロボットにこめられた想いを、インタビューとともに紹介。

 扉を開けると、そこにあるのは圧倒的な存在感の草木、花のオブジェ。まるで屏風絵のような情緒あふれる自然の景色がゲストを迎えてくれる。花鳥画、中国から伝わってきた歴史ある自然描写の芸術は、現代の銀座に、モダンなアートとなって甦った。草木の間から時折のぞくのは、小さな鳥のロボット「Polly」。うっかり見落としてしまいそうなほど、草影にひそんだ佇まいからは、“自然との調和”を意識した松井氏の意図がうかがえる。


‐今回、花鳥画をテーマにしたのはなぜですか?

3・11以降、日本人デザイナーとして何ができるか? ずっと考えてきました。そこでたどり着いたのが花鳥画でした。日本人は古代から自然を感じながら、自然と共存して暮らしてきました。戦国時代、武将たちが花鳥画を愛し、屏風や襖絵に用いたのも、自然を忘れないという戒めだったのではないかと思います。私たちも自然を制約するのではなく、今ある自然の中に科学技術をどのように調和させていくべきか。そんなことを考えながら、構想を練ってきました。今回の展示では、花鳥画を空間に変えてアレンジして、テクノロジーと自然との調和を表現しています。生花の大胆な構図と小さなPolly達との調和する空間は心地よい場になりました。


‐3・11以降、科学技術に対する想いはどのように変化しました?

戦後、国家の繁栄と歩みをともにしたテクノロジーの象徴は未来への大きな不安へとはっきりと認識されてしまった。日本人だけじゃなく世界の人々も、科学技術に対する不信感を抱いたのではないかと思います。海外にいても多くの人たちから「日本人として何をデザインするのか?」と問われました。ちょうど3・11のあと、たまたま目にしたDVDが宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』だったんですが、”まさにこういうことが起こり始めている“と自分の感覚もそちらへ向かいましたし。これからは単に科学技術の進化や単一の製品だけに目を向けるのではなく、生きていくための技術や、人や自然と調和したモノ作りから構想を考えていかなければ思いました。もともと私はPosyを作った時から、ロボットというものが、力の象徴ではなくて、生活とテクノロジーとの共生の象徴になって欲しいと考えていましたが、その想いはさらに強くなりましたね。環境から発想することは、もはやコンセプトではなく指針となったはずです。


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