谷尻誠インタビュー:都心の広場に巨大なジャングルジムが出現

2012年 10月 30日 12:00 Category : Design

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 住宅作品を中心に数多くの建築を手がける、現在の建築界のなかでももっとも人気の高い建築家の一人、といっても過言ではない谷尻さんの活躍ぶりはご周知の通り。そして、建築界のみならず、ファッション誌やカルチャー誌、またテレビなどでその姿をみることも少なくない。展覧会の会場構成やショップの内装デザイン、また広島の事務所では多彩なゲストを招き、月に一度のペースで「THINK.」と題したレクチャーシリーズも行なっている。その活動はジャンル横断的であり、建築に詳しくない人たちに対しても、建築以外の言語で建築そのもの楽しさを伝えるなど、谷尻さんの活動は建築の概念や、建築家というカテゴリーを拡張しているようにもみえる。その活躍ぶりは、専門家は専門的なことだけをやっていれば良かった時代には、考えられないような多彩ぶりだ。谷尻さんはそのことをどのように考えているのだろうか?

「そもそもカテゴリーとは人間の都合でつくってきたものです。ですが、いままでカテゴリー分けされてきたものが、今の社会ではそのカテゴリー自体が横断的になってきたと思うんです。このマウンテンジムにしても、建築家がつくっているから、これは建築です、という人もいるだろうし、アートです、という人もいると思います。そしてジャングルジムの構造をもっているから遊具だし、座ったりすることもできるので、家具的であるともいえるわけです。ただ、カテゴリー分け自体が悪いことではなくて、一度カテゴリー分けされたからこそ、そこにあてはまらないような新しい価値観を人々はつくり出してきたり、そうやってセグメントされてきたものが再度混ざり合ったりするものにもなりうるわけです。カテゴリーの枠が溶けてそれぞれが混ざりあうことによって、いまの社会における大事なものが生まれてくるような気がしています」

「大人はマウンテンジムを前にしてどう使うんですか?と聞いてくる人が多いのですが、子どものように使い方を自分で見つけていくことが楽しみであって、使い方が前提にあるとか本来そういうものではないと思うんです。住宅にしても、どう住もうかとか、インテリアをどうコーディネートしよう、と考えること自体が楽しいと思うんです。建築にしても、ただ僕がつくるだけではなくて、そこに住む人の主体性が芽生えるものがいいと思っていて。ジャングルジムであれば、これに登りたいとか、住宅であれば、こう生活したいとか、そこにそれを体験する人の主体性をきちんと設計できたらいいなと思っています」

 東京ミッドタウンの芝生広場は、普段から大勢の人や子どもたちが集まる場所だが、この取材の最中にもどこからきたのか、たくさんの子どもたちが、マウンテンジムのもとには集まってきていた。そして戸惑うこともなくマウンテンジムに手をかけると、身軽に、そしてやすやすと頂上まで一気に登っていく。そんな子どもたちの姿をみながら、「ここを訪れた人たちが自由に使い方を発見してもらえたらいいですね」と語る谷尻さん。マウンテンジムは、大都会の真ん中に突然現れた大人も子どもも楽しめる遊び場だ。山の裾野には、腰掛けてくつろぐことのできるベンチもある。天気の良い日は弁当を持っていて、みんなでそこで食事をするのも楽しいだろう。


Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2012「DESIGN TOUCH Park」
会期:2012年10月26日(金)〜11月4日(日)
※会期中、「Park Workshop」10月27日(土)、10月28日(日)、「Park Stage」11月3日(土)、 11月4日(日)をそれぞれ開催予定。
場所:東京ミッドタウン 芝生広場
入場無料

取材/加藤孝司

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