太宰府 竈門神社新社務所計画プロジェクト。Wonderwall 片山正通氏、ジャスパー・モリソン氏インタビュー。

2013年 2月 7日 08:00 Category : Design

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-竈門神社のように、すでに長い歴史があり、伝統があるものに対し新しいチャレンジをするにあたり、その伝統との連続性を意識されると思うのですが、その点はいかがでしたか?

片山:竈門神社さんにはこれまで100年以上も使われ続けていた社務所を建て替えるにあたり、新しい社務所に対しても、これからの100年を考えるという、大きなテーマがありました。それと、竈門神社の名前の由来なのですが、この山の麓に位置する太宰府の町からみて、この山が「竈(かまど)」のカタチにみえるのと、山の中腹から上には、いつも雲霧が立ちこめていて、それがあたかも「かまど」に湯気が立ち上っているようにみえることから「かまどやま」と言われている、というお話をうかがって、それがとても特徴的だな、と思いました。

 それは、人びとの暮らしや言い伝えのような、地域性のあるユニークなエピソードだと思ったんです。僕はデザインには、あるものに対する言い伝えや、その土地ならではの豊かさや、だからこそ生まれる固有性というものがあると思っていて、だったら、僕がここで新たにつくるものは、その「かまど」を中心に人びとが集うコミュニケーションの場所として、「土間」というコンセプトがしっくりくるのではないかと、と思いました。

 ですので、必然的にかたちも、かまどを中心にしたような円形のデザインにしています。そこにはこの場所に固有の、人が緩やかに集まっていくような意味合いで、僕にはそれがこの場所をつくるコンセプトにちょうど良いと思いました。それと通常神社というときには、素材でいえば、まず木が思い浮かぶと思うのですが、今回は石を使っています。これに関しては宮司さん竈門神社さんが本当にデザインに理解と先見性があり、面白がってもらえたことが大きかったです。それは普通だとなかなかできないと思うんですね。

©Nacasa & Partners Inc.

-そこはお施主側と片山さんとの意志の疎通がうまくとれた、ということですね。

片山:そうです。それと、これまでも太宰府天満宮さん(※竈門神社宮司は、太宰府天満宮宮司西高辻信良氏が兼務している)は、アートとのコラボレーションをされていたり、新しい文化や工芸などの受け皿になっていた側面があり、今もつねに新しい感覚をもっていらっしゃるんですね。そこは僕も現代のデザイナーとしてそれを受けとめて、新しいことをやらなければいけないと考えていました。

-片山さんご自身が、ただ伝統を受け継ぐだけでなく、その伝統を更新していく役割も強く意識されていたのですね。その時代における新しいことにチャレンジしていくことで、次の100年に生き続け、人びとに愛され続けるものにつながるわけですね。

片山:そうありたいと思っています。ですが、今回つくったものが、真の意味で新しいものになりうるかは、今の僕らにはわかりません。その新しさ、というものは現代の僕らではなく、100年後の時代の人びとが決めるものだからです。でも、今回つくったものが、100年後の未来にはもしかしたらスタンダードになっているかもしれないですよね。そうなったらいいなと僕は思っていて、それをするなら、あえて思い切ったことをしなければならないと考えていました。新しいことにチャレンジしながら、そうやって代々残ってきたものが、今、僕らがみているような文化、というものなのかなと、宮司さんも言ってくれていたので、それは心強かったです。

©Nacasa & Partners Inc.

-素晴らしいですね。この場所としては、土間の真ん中にかまどがあって、壁面がラウンドしていて、曲面が多用されていることも、他の神社のお守り授与所にはみられない特徴かと思いました。

片山:まず、建築家の種村強さんが手がけられた社務所全体の素晴らしい計画がありました。今回僕が手がけさせていただいた、お守り授与所の場所がこの場所であるとうかがったときに、宝満山の麓にあるこの神社の門をくぐり、境内の階段を上がって来たときのみえ方や、本殿、庭との関係性については、ものすごく意識しています。

 山を背にした社務所のL字型のプランは、本殿と庭を包み込むようなイメージがありました。僕がインテリアを手がけさせていただいたお守り授与所のエントランスには、ラウンドしたガラス戸があるのですがそれは、授与所のなかからみたときに、庭や本殿を内包するようなイメージを持たせています。それと普通はお守り授与所というのは、お守りを受け渡すやり取りをする場所なのですが、ここでは、授与所全体のイメージをもう少し神社全体を包み込むようなものにしたいと思っていて、本殿や庭にむかって、開くようなかたちにしています。

 それに当然ながら、授与所はお守りを受けていただく場所ですので、すべてのお守りが一望に見渡すことができる什器として、見やすく手に取っていただきやすさと同時に、参拝者の方にお守りを受けたいと思っていただけるような工夫もしています。ここは山の上ですので、冬は寒いからこそ、お客様には建物のなかに入ってゆっくりとお守りを選んでもらいたい。普通のお店では当たり前なことも、神社の皆さんからは新鮮に写ったかもしれません。

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