建築家 丹下健三の瀬戸内。「丹下健三 伝統と創造 瀬戸内から世界へ」展

2013年 9月 10日 12:00 Category : Design

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戦後の丹下の歩みは、新しい都市の未来へのグローバルなビジョンをもって建設する建築家による、戦争で破壊された都市の復興そのものの歩みと重なる。広島で都市のコアとなる広場をもった建築を実現した丹下は、その3年後に、1945年7月の空襲で大半が焼土と化した高松市街地に、市民に「開かれた庁舎」である香川県庁舎を実現する。

撮影:神谷宏治

香川県庁舎は、広島で実現したインターナショナルスタイルの建築様式に、人々からの共感を得やすいことなどを考慮して、日本の伝統的な木造建築の要素を、西洋発祥のコンクリート建築に大胆に盛り込んで設計した、まったく新しい現代建築であった。

建物の外観には、水平性を強調したベランダ兼ひさしが大きく張り出し、それを室内から続くリズミカルな小梁(ひさしを建物の外側方向に支えるようにのびる構造材)が支える。その後の日本の公共建築の手本で先駆けとなる意匠がここで誕生した。

戦後復興はひと段落したとはいえ、当時の低層の平屋建ての木造住宅がほとんどの高松市内において、その建築は、五重塔や巨大な神輿のようにみえたという。

通りから直接、奥の高層棟のロビーにアプローチできるよう低層棟に設けられた開放的なピロティにより、自由に人びとが通り抜けることができるようにしている。広島ピースセンターでも用いられたピロティは、瀬戸内の夏の厳しい陽射しをさえぎる空間ともなっている。ピロティから続く南庭の広場は、二つの池を配置した、コンサートなどが行われる市民に開放された庭。さらに、現在は限られたとき以外公開されてはいないが、屋上には喫茶カウンターがあり、屋上も市民のための憩いのスペースとして開放されていた。

photo:ホンマタカシ

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