インタビュー:アントン・ベーケ 「ポスト・フォッシル」展より

2010年 6月 17日 23:00 Category : Design

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 東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTにて開催中の「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展。ダイナミックな作品が立ち並ぶ中、繊細なガラスのタイポグラフィが敷き詰められた作品「射精(eiaculatum)」は、訪れた人に鮮烈な印象を残している。


 オランダ語で「eiaculatum」とは、「射精、精液」のこと。ガラスで形作られたこのタイポグラフィは、一つひとつが今にも動きそうな、みずみずしい魅力に満ちている。


 作者は、オランダの著名なグラフィック・デザイナー、アントン・ベーケ氏。女性の裸体をタイポグラフィにあしらった作品「ネイキッド・レディース・アルファベット」や、数々の革新的なグラフィック・デザインで知られている人物だ。今回の作品について、話を聞いた。


−作品について、発案から実際の製作までの期間、この素材を選んだ理由を教えてください。

 ガラスを溶かした物を素材に使っているのですが、この素材はとてもコントロールしにくいものなんです。毎回違うものが出来上がるため、つねに新しく、この作品は終わることなく続いています。

 なぜガラスという素材を選んだかというと、ひとつには「コントロールすることがもっとも難しい」ということが、この作品のテーマ「精液」とぴったり合ったから。つまり、そのもの自体に生命があるような素材だからなのです。「精液」という単語には汚いようなイメージがつきまとうけれども、実はすべての生命の根源です。この作品はタイポグラフィとしては初めての生命を持ったものだと思います。コンピュータでは決して生まれないタイポグラフィ、ひとつとして同じ顔を持っていないのですから。

−今回の作品はもちろん、これまでの数々の作品には、生命が宿っているような感覚を覚えます。作品の命、それはどのように生まれるのでしょうか。

 誰が見て、どう感じて、どう扱うのか— そういう、非常にベーシックなことを子どものような気持ちで感じながら、作品に向き合うこと— それが、いちばん革新的なことに結びつくと思うのです。「one of them(その他大勢)」の気持ちを忘れないことがすべてではないでしょうか。

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