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柴田文江デザインの美しきリモコン、地デジ版SPIDER PRO

2011年 5月 9日 00:00 Category : Digital

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デザイナー柴田の関わり方

有吉:SPIDERを紹介すると、これを録画機の化け物みたいにとらえちゃう人も多いんですよね。テレビ局の人でも、これでお茶の間の視聴が1人減るのではないかと心配する人がいます。実はSPIDERは番組を見る機会も、テレビを見る人の層も広げているのですが。

柴田:そうですね。私もあまり積極的に自分からテレビ番組を見に行く方じゃないので、人から「あれ見た?」と聞かれて後から番組について知ることが多いんですね。例えばカトリーヌ・ドヌーブが「徹子の部屋」に出ていたよ、といった具合に。そうやって評判が出てから番組を見ようにも、知らない番組の録画予約なんてできないわけだし、これまでは聞いた頃には手遅れでしたよね。それがSPIDERでは、話題を聞いてからその番組が見られる、これは新しいですよね。

有吉:最初にSPIDERを思いついた時の原点はそこなんです。1週間録画できるということよりも、放送の終わった番組を話題になってから見る、という方が強いんです。実はそれに関して、ちょっと堅苦しい名前ですが「番組評価互助会システム」っていう特許を12年前に出しているんです。(笑)

柴田:さかのぼって聞くと、凄いですね。もっとも、私もSPIDERがそこまで凄い、と理解するのにはすごく時間がかりました。一般のお客様に毎回、毎回その話をして説得するのも無理なので、どうしたらいいんだろうって考えていました。そうした結果、思い至ったのがDVDプレイヤーみたいに本体が見えちゃったらその時点でダメなんだろうな、ということなんです。そうなったとたんに、最初の頃の私みたいに〜〜社の〜〜とはどこが違うんですか?っていう他の録画機との比較の議論が出てきてしまいますよね。

 でも、これは実はサービスであって、「SPIDERである」ということ自体を売ることが大事なので、本来はモノが必要ではないんです。もっとも、そうはいって端末としてモノは存在しないといけないから、その図面を描いたりはするんですけど…その頃から「多分、メインはリモコンだ」って思っていました。

 本体に関しては、できれば存在しないのが一番よくって、(テレビに)ビルトインして、なくしちゃいたいくらいでした。でも、それはできないので、できるだけシンプルにして、発表会の時やそこで配るカタログでも、載せるのはリモコンだけにして本体は隠そうってお話したんです。

SPIDER PROのリモコン

−あれは柴田さんの提案でしたか。

柴田:実は情報端末のイメージの脱却が一番、難しいんです。モノがあったり、言葉で説明しちゃうと、必ず「〜とどこが違うの」って言う議論になっちゃいますよね。でも、例えばWOWOWとメーカー製のDVDレコーダーを比較する人はいないでしょう。だって、WOWOWはサービスなので姿がなくって、AV機器とは全然違うから。SPIDERも本当はサービスなんですよ。

有吉:全くその通りです。それをわかっている人達には、よく何で自分たちでつくっちゃうんですか?他のメーカーにつくってもらわないんですか?と聞かれることがあります。私たち自身は、本心では他のメーカーに作ってもらってもいい、という考えで、実はこれまでにも何度か話し合いをしたんですよ。ただ、今、メーカーと組んで出すとなると、製品のコンセプトを最後までキープして製品化することが難しいとだんだんわかってきたんです。だから、それならいっそ自分たちでつくってしまおう、ということになったわけです。

柴田:やっぱり、SPIDERの本質はカタチのあるプロダクトではなくって、テレビの概念を変えようというサービスなんですよね。でも、最初に有吉さんが来て、仕事を依頼された時点では、「まずは本体というモノがあって、それをデザインして欲しい」という姿勢が前面に見えたんですよ。なので、「デザインって言うのはスタイリングだけじゃないですよ」って話をさせていただきました。

−ということは、柴田さんの関わり方は、ただのカタチのデザインだけではない、ということですね。

柴田: これってカタチだけ設計しても済まない仕事じゃないですか。クライアントの考えをデザイナーの視点で、いかに製品を知らない人達に伝えていくかを解釈、翻訳しなければならない。そのための作業がまず必要なんです。なのでモノをつくり始める前に有吉さんとはずいぶんとお話をしました。

―話はスムーズだったんですか?

柴田:もの凄く印象的だったのは、有吉さんがすぐに「何でもできる」っておっしゃるんですよ。そういう人とは仕事したことないので、かなり、怪しい人だ、と思っていました(笑)。

―何でもできるっていうのは、造形上の話ですか?

有吉:いや、可能か不可能かという視点での話ですね(笑)

柴田:私は日頃、物をつくっている側にいますが、「何でもできる」って言われることに凄く不安感を持っていて… 海外の工場なんかでも「何でもできる」というところに限って、実は何もできなかったりするものだから(笑)。そこで「これできますか?」「あれできますか?」って色々、聞いてみると、本当に、あれもやる、これもやる、と対応してくれたんですよ。そういう意味ではデザインを縛られなかったので、本当にいろんなアイデアが出せてよかったです。

 そこで打ち解けて、「コレで一番、大事なのはカタチではありません」という話と「コレが他と何が違うか表現して行かなくちゃいけない。」、そしてそのためにはユーザーとの接点になるインターフェース、つまり「GUIが大事だ」っていうことをお話ししました。

有吉:そうですね。柴田さんに1日あけてもらい、うちのオフィスでエンジニアがコーディングしながら、「ここでアイコンの動きを加速した方がいい」とか指示をしてもらって、その場でGUIを直すんです。

柴田:これが面白くて、すごく難しそうなことがすぐに直るのに、簡単なことが全然、直らなかったりするんですよ。「これ邪魔なので、ちょっと取ってもらっていいですか?」とかいうと、すぐに取れるのに「ここの色を変えてもらえますか?」とかいうと、ものすごく手間取ったりして(笑)。

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