今週末見るべき映画「イヴ・サンローラン」

2011年 4月 21日 20:30 Category : Fashion

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 映画を見る楽しみのひとつは、ごひいきの女優の衣装だ。かつて、オードリー・ヘプバーンが主演した「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」「ティファニーで朝食を」、そして「シャレード」などでの洒落た衣装デザインは、ユベール・ド・ジバンシーであった。

 若くして天才と言われたイヴ・サンローランもまた、映画の衣装デザインを、数多く手がけている。ごひいきの女優カトリーヌ・ドヌーヴの「昼顔」や「引き潮」、ロミー・シュナイダーの「夕なぎ」、クラウディア・カルディナーレの「ピンクの豹」などは、優雅にして繊細な、サンローランの衣装デザインが堪能できる映画であった。

 映画「イヴ・サンローラン」(ファントム・フィルム配給)は、クリスチャン・ディオールの後を、若くして継いだサンローランの仕事と素顔が、公私ともにパートナーであった盟友のピエール・ベルジェの回想で綴られる。形式はドキュメントであるが、これは、サンローランとベルジェとの愛のドラマ、サンローランを想うベルジェのコメントの数々が、深い慈愛に満ちて、胸を打つ。原題が「狂気の愛」なのも頷ける。

 ベルジェは、サンローランの天才であるが故の、成功を納めたが故の、名声を獲得したが故の、創作し続けなければならない苦悩を明かしていく。ベルジェは淡々と語る。ディオールの葬儀でのサンローランとの出会い。共同作業でアトリエを立ち上げたこと。パリのアパートや、マラケシュ、ノルマンディーなどの家で、過ごした日々。お互いの立場と役割。サンローランの成功と創作の苦悩などを。一言一言を、噛みしめるように語るベルジェの表情からは、サンローランを亡くした哀しみが漂う。

 サンローランは、毎年、定期的にコレクションを発表し続けなければならない責任感に、悩み苦しむ。天才であればこその苦悩かもしれない。しかし、そんなサンローランに寄り添うように、いつも、ベルジェが側にいる。サンローランのいくつかのインタビューが挿入される。はにかみながら、丁寧に答える素顔からは、創作への苦悩、プレッシャーが読みとれる。この世の幸せは? との問いに「満ち足りた大きなベッド」。また、理想の死に方は? との問いにも「満ち足りた大きなベッドで」と答えている。

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