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本醸造のごとき味わいがある「トッド スナイダー」

2014年 8月 19日 09:00 Category : Fashion

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勤め人だったころの上司が口を酸っぱくしていっていたのが、酒飲みが馴染みにすべきはホテルのバーで、最後にたどり着くのはブレンデッド――のふたつである。

前者の理由は、最高のホスピタリティがあって、かつ、ボトルを入れちゃえばへたな店より安くすむから、という実利を兼ねたものだった。ブレンデッド推しの記憶はあやふやで、“初”とか“純”とかをありがたがる日本人特有の国民性へのアンチテーゼか、あるいは単純に深みがあって旨い、だったか。

残念ながらウィスキーはいまだ寝酒程度でたいした感想がいえないけれど、日本酒に置き換えれば上司の言い分(おそらく)はわかる。吟醸人気にバブル景気がダメを押して、業界には精米歩合を競う時期があった。獺祭二割三分をはじめて呑んだときは驚愕の一言だった。銘柄に冠した二割三分とは、つまり、米の77%を削った状態を意味する。削れば削っただけ雑味が取れ、透き通っていくが、40%の精米で吟醸と名乗れることからも、それがどれだけ贅を極めているかわかるだろう。しかし“吟醸”とか、“精米”とか、“雑味”という言葉ばかりが一人歩きし始めると、反比例するように僕の熱は冷めた。

そもそもよほど上品な肴なら食中酒でもありだが、茶色い食卓との相性は悪い。華やかに香る吟醸は基本、それだけで完結するハレの日の酒であり、フトコロが深くて呑み飽きない酒、という観点ではフツーの本醸造酒に軍配が上がる。人肌まであっためて、角が取れてまろやかになった本醸はたまりませんよ、ほんとに(そういう繊細な気遣いができない場末のおかみさんがもてなしてくれるチンチンのお燗も、シンシンと冷える冬の日など、あれはあれで悪くない。連れが妙齢の女性で、お酌しようと徳利に触れた瞬間、「アツい」なんつって耳たぶに手をあてたりしたら悶絶する)。

本題を忘れるところでした。そう、今回紹介するトッド スナイダーはまさにこの、本醸造的なスタンスがあるブランドなのだ。

ポロ ラルフローレンのデザイナー、ギャップのディレクター、J.クルーのシニア・バイスプレジデントを経て2011年秋に自身の名を冠したブランドを立ち上げるや、バーグドルフ・グッドマン、ニーマン・マーカス、ロン・ハーマンといった世界屈指のショップがオーダーをつけるために長い列をつくった。J.クルー時代にオープンさせたザ・リカーストアはファッショニスタを狂喜乱舞させた。

キャリアだけみれば磨き上げた吟醸酒を思わせる。ところがどっこいモノづくりの世界観もヒトトナリも、じつにフランクだ。

トッドが常々口にするJuxtaposeには異なる価値観を並列させる、といったニュアンスがある。いわんとするところは新作を見れば一目瞭然で、ルーズなスエットパンツに側章を加えたり、タキシードジャケットで仕上げたりする。いわゆるリアルクローズを標榜するブランドであり、ストリートとクラシックやドレスの融合はその方向性においてもはやありふれた手法だけれど、トッドはちょっと突き抜けた感がある。それは彼のメンタリティゆえだ。

Juxtaposeのアイコン的スタイリング。コンパクトなサイジングとモノトーンなカラーパレットが相反するエレメントを調和させる。シャツ 33,000円、タイ 13,000円、パンツ 39,000円、ジャケット、シューズは参考商品

「ファッションは個性を表現するツールであると同時に相手への敬意を表明するものでなければならない」というのがトッドの持論で、ただ気分でテーラードを採り入れただけのコレクションとは、だから圧倒的な差が生まれるのだ。

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