50周年を迎えた「ソメスサドル」の新機軸

2014年 10月 22日 08:00 Category : Fashion

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夜も更けた某JR駅。帰宅を急ぐ女性は視界の隅でとらえたなにかに胸騒ぎがして、思わず足を止めた。すこし前にオープンした、こじんまりとした居心地のよさそうなバール。そのカウンターでグラスを傾けている紳士のなんて様子のいいこと! 「逆ナンしちゃいました」。

男冥利に尽きるその男こそ本日の主役、ツボさんこと、坪内浩。ファッション業界でも飛び切りの洒落者として知られるシューデザイナーである。総柄のコートをさらりと羽織ってしまうのだから、もう、すごい。

本業のデザインワークがまた圧巻だ。なにより、日本が誇る職人仕事を、みずからのフィルターを通して再構築する手腕が鮮やかだった。それは絵を描いていっちょあがり、じゃなくて地方の工場でもかならず足を運び、現場でやりとりする真摯な姿勢に尽きるのだが、土産話はたいがいその土地の名物料理だったりするから、ほんとうは観光が目的なのかも知れない。

そんなツボさんが「ちょっといいものができました」と案内してくれたのが、ソメスサドルとコラボレーションしたバッグのコレクションだった。バッグは靴と親和性の高いアイテムであり、パートナーに選んだのは希少なブライドルレザーを擁する日本屈指の馬具メーカーである。いやが上にも期待は高まっていたが、そのデキは予想をはるかに超えた。思わず目を奪われたのが、エッジの処理だった。継ぎ目がない! 驚く僕をにやにや見て、しぼりっていうんだよ、と教えてくれた。

ブライドルレザーとシュリンクレザーを掛け合わせたトートバッグ。ソメスサドル×エイチティーレーベル/11万円

しぼりとはヨーロッパ伝統の技法で、水に浸し、革の繊維を膨張させた状態でプレス成型し、乾燥によりカタチを整える、というものである。これだけ読めば簡単にみえるが、そのじつ、温度、湿度の管理に繊細な気遣いが求められる。ソメスサドルがその技法をはじめて採り入れたのはいまから40年以上も前のこと。拳銃のホルスターの製造をオファされてからという。以来、老舗のレザーグッズに欠かせない技法になった。

このブリーフケースに注入された職人仕事としては、しぼりのほか二本針を使った手縫いも見逃せない。比類なき耐久性を保証する馬具づくり由来の技だ。ソメスサドル×エイチティーレーベル/11万円

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