汎用性のある服とは

2015年 1月 28日 08:00 Category : Fashion

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お節にも飽いた正月の後半戦、小学校からの腐れ縁と街へ繰り出すことにした。呑み屋の口開けまでまだ時間があったので、暇つぶしに幹線道路沿いのカジュアル衣料チェーン店に入った。会えば十中八九ゴルフウェアでその日も例に漏れなかったから半ば諦めていたが、ヤツは買うものがわからないと途方に暮れた。

歳をとるにつれ、日本の男の装いはフトコロの具合と反比例していく。家のローンや子どもの養育費に金がかかるのはわかる。とはいえ若いときのヤツを知っているだけにその落差は暴力的ですらあり、ただただ愕然とするばかりだった。聞いてのけぞったが、たしかスーツは生協で買っていた。

しかしそこで思い出したのが場末の呑み屋にたむろする男たちである。およそお洒落とは無縁な装いながら、ねっとりと黒光りしたカウンターとの境界線がわからないくらい風景になじんだ彼らはこよなく格好いい。駅前を歩く連れを盗み見ると、北関東のかつて賑わったベッドタウンにひっそりと溶け込んでいた。

ただここで見落としがちなのは、呑み屋というコミュニティを出た途端、おじさんは異邦人になってしまうということだ。つまり、場末で完結するならいいけれど、いくつかのコミュニティを行き来する生活においてはもう少し汎用性を意識すべきだ。僕は酔いも手伝ってその日身につけていた服がいかに素晴らしいかを滔々とまくし立てた。

「このシャツはフィナモレといってな、手縫いだから着心地抜群にして、それ一枚で洒落てみえるナポリの名門だ。パンツもいいだろう(といって座敷で突然立ち上がる)。シルエットの工夫で脚が二割増、長くなる。こっちもイタリアのブランドでPT01っていうんだ。そうそう、バッグもすごいぞ。最近手に入れた日本のブランドなんだけど、奇を衒わないデザイン、いい素材、いいつくりと三拍子揃っている」。

エストネーションで10年以上定番の座に君臨するナポリの老舗シャツブランド、フィナモレ。ジオメトリックなど旬なパターンのあしらいがじつにうまい。31,320〜37,800円

美脚パンツの代名詞、PT01のなかでももっとも美しいラインを描くといわれるモデル、スーパースリム。イタリアならではの発色に富んだ色合いも秀逸だ。32,400円

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