京小物の老舗「幾岡屋」で、はんなり愛でる舞妓の花かんざし

2014年 7月 22日 10:00 Category : Garbo

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願いが叶う? 今なお、受け継がれる“縁起担ぎ”

1月は、正月から15日までの松の内の間、乾燥させた稲穂に小さな白鳩が付いたかんざしを飾る。12月のまねきと似ていて、鳩の目はなく、好きな人に描き入れてもらう「眼入れ」が習わしだ。昔は、旦那衆に描いてもらうと「芽が出る」ので「出世する」という意味合いから、縁起を担いで行われていたそうだが、近年では「願いが叶う」というジンクスがあるらしい。

「舞妓の花名刺を財布に入れると、お金が舞い込む」、「元舞妓である芸妓の花名刺を入れれば、お金がもっと舞い込む」など、花街にはさまざまな言い伝えがあるが、五穀豊穣祈願のシンボル、稲穂のかんざしについては、3粒の稲をもらい、それを紙に包んで財布に入れると、その年の金運が上がると言われている。

2月は梅の花。紅白のツートンカラーをベースに、最近では、淡い桃色やライラック、水色なども使われている。この写真にもあるように、お店出し(舞妓デビュー)して1年未満の年少舞妓は、“ぶら”のたくさん垂れ下がったかんざしを付ける。舞妓としての経験を積むに従って、花のあしらいも小ぶりの可愛らしいものから、一輪挿しのような大きなものへと変わり、より落ち着いたイメージになっていく。ちなみに次の一品も、上記の写真と同じ梅のかんざし。グッと大人っぽさを増している様が見てとれるだろう。


3月は、菜の花とチョウチョの組み合わせ、4月は、桜とチョウチョ。菜の花は春の象徴だが、かんざしは季節を先取りするため、3月のモチーフとして使われている。


続く5月は、藤の花やアヤメ、6月は柳となでしこ。こうして舞妓たちは、季節を彩る花かんざしを髷の左側に、右のこめかみあたりに“ビラカン”という装飾品を、一年を通して飾る。ビラカンは総銀。かなり重いが、髷に飾ると摩訶不思議。歩くたび風に揺れ、軽やかな雰囲気を醸し出す。

知られざる舞妓の日本髪の秘密とは?

ちなみに、京都花街では、芸妓は島田のかつらをかぶり、舞妓は皆、地毛で髷を結っている。その結い方も、経験年数によってデザインが変わる花かんざしと同じで、出たての舞妓は“割れしのぶ”、お姉さん舞妓になると“おふく”と変わっていく。

今年の2月に襟替え(舞妓から芸妓になる儀式)したばかりの宮川町芸妓のとし夏菜さんからこんな話しをうかがった。「日本髪はさらさらやと結えないので、舞妓はんの時は、コンディショナーとかトリートメントは禁止どした。食器用洗剤で洗ったあとに、ふつうのシャンプーをして、それで終わり。髪の毛、相当きしんでいましたね。芸妓になって、4年2ヶ月ぶりに、美容院でさらさらヘアーにしてもらいました。嬉しおした」。見る者たちを魅了する美しさの裏には、やはり並々ならぬ苦労があるのだ。

幾岡屋では、かんざしのほかにも、特製のあぶらとり紙、鏡、香、紅、かご袋など、女性なら誰しも胸ときめく逸品が顔を揃えている。京都を旅する際には、ぜひ足を運んでみていただきたい。

お問い合わせ:幾岡屋 tel.075-561-8087

文/岸由利子

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