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今週末見るべき映画「抱擁のかけら」

2010年 2月 5日 10:00 Category : Garbo

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男と女が惚れあう。監督と女優が惚れあう。結婚といった形式とは関係なく、古今東西、惚れあった監督と女優との幸せな結果となる映画表現が多い。監督ペドロ・アルモドバル、女優ペネロペ・クルスによる「抱擁のかけら」(松竹配給)もまた、幸せな映画である。 さまざまな愛の形が描かれる。だからいろいろな嫉妬の形も描かれる。パトロンのいる女優志望の女性と映画監督が出会う。女性は映画に主演することになり、すぐに二人は愛し合うが、パトロンの嫉妬で、仲が裂かれそうになる。当然、悲劇が起こる。そういった過去を映画監督の回想で綴る。

(c) Emilio Pereda&Paola Ardizzoni/El Deseo ペネロペ・クルスの女優としての魅力が全編を彩る。フェデリコ・フェリーニの傑作「8 1/2」のモチーフをミュージカル化、その映画化の「NINE」(3月公開)でも、ペネロペ・クルスは、みごとな肢体を披露している。本作は、「ボルベール<帰郷>」に続いてのペドロ・アルモドバル監督との4回目のコンビである。呼吸はぴったり、ひたすら、ペネロペ・クルスを美しく撮る。

(c) Emilio Pereda&Paola Ardizzoni/El Deseo ペネロペ・クルスは、母国スペインを離れて、いくつかの映画に出るが、その個性がひときわ輝くのは、やはりスペインでの、ペドロ・アルモドバルの映画だろう。そこでのペネロペ・クルスは、もう凜として、美しく、強く、情熱的である。 ペドロ・アルモドバルは、映画のなかで映画へのオマージュを捧げる。オーディションを受けるペネロペ・クルスのカメラ・テストでは、オードリー・ヘプバーンやマリリン・モンローふうのウィッグをつける。脚本家、映画監督として登場するハリー・ケインという名は、「第三の男」のハリー・ライム、「市民ケーン」のチャールズ・フォスター・ケーンを想起する。 パトロンのすさまじい嫉妬の結果、映画監督と女優は、カナリア諸島のひとつ、ランサロテ島に逃避行を企てる。島のホテル、ふたりがテレビで映画を見る。ロベルト・ロッセリーニの「イタリア旅行」である。ボンベイの遺跡で、抱き合ったまま死んでいった男女のいるシーンを見て、ふたりは寄り添い、涙する。 劇中、製作の進む映画は、ペドロ・アルモドバル自身のコメディ、「神経衰弱ぎりぎりの女たち」のモチーフによる。映画へのオマージュにあふれた映画は多いが、本作ほど映画のなかで映画を描いた作品は珍しい。 ペドロ・アルモドバルのどの映画もそうだが、衣装やセットデザインなどなど、色彩は相変わらず鮮やか。衣装やカーテン、トマトなどの鮮烈な赤に目を奪われる。また、ランサロテ島の景色は、息をのむほどの絶景である。どのような結果になるか定かではない愛の行方を描いて、ペドロ・アドモドバルの手腕はさえわたる。 愛し愛された日々が悲劇となる。そういった過去を封印しながら生きていく男の切なさもまた、胸に響いてくる。悲劇のあとに14年という時間が経過する。微かな希望が提示されるが、だからこその切なさがいや増す。

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