今週末見るべき映画「マリア・カラスの真実」

2009年 3月 27日 10:00 Category : Garbo

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ジャンルを問わず、不世出の天才のことを「~の前に~なく、~のあとに~なし」、といったりする。オペラ歌手マリア・カラスは、確実にその1人に数えられるだろう。

マリア・カラスの実際の舞台を見ることは叶わなかったけれど、レコードやCD、DVDなどで聴いたり観たりはできる。いままでに数多くのディーヴァ(歌姫)はいたけれど、いまなお、マリア・カラスは最高のディーヴァ、オペラ歌手と思う。

3オクターブにわたる卓越した歌唱、表情やしぐさの劇的な表現、持ち前の美貌。オペラ歌手としてのあらゆる要素をすべて持ち合わせた天才である。経済的にはさほど豊かではない環境に育ちながらも、オペラ歌手として栄光を手にする。しかし、私生活では決して幸福とはいえない人生であったようだ。


そんなマリア・カラスの実像に迫ったドキュメントが「マリア・カラスの真実」(セテラ、マクザム配給)である。タイトルバックは、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」。第3幕、狂乱の場からのアリア「苦い涙を注げ」をマリア・カラスが歌う。絶頂期のスタジオ録音である。

「マリア・カラスは巫女、パリ・オペラ座という神殿に立つ聖なる巫女だ」というナレーションで映画は始まる。もうこれだけで、マリア・カラスのファンならぞくっとするに違いない。ナレーションは抑揚を抑えたフランス語。マリア・カラスの誕生から、デビュー、絶頂期、晩年と、波乱たっぷりのドラマチックな人生を淡々と語っていく。

エピソードの合間には、実際のステージの模様が挟まれる。モノクロ映像の絶頂期の舞台は鬼気迫るほどの迫力で、聴きほれてしまう。さらに本人のインタビューや、舞台で着た衣装などが次々と出てくる。

不世出の天才、マリア・カラス。まさに「カラスの前にカラスなく、カラスのあとにカラスなし」。だが歌い演じる希有な才能を持ち合わせていた人物であると同時に、また、恋をして、結婚をして、家庭を守ることを夢見る、ごく普通の女性でもあった。

とにかく、レコードやCDに残された音声、DVDなどの映像につき合ってほしい。誰もがマリア・カラスの歌唱に驚き、必ずやファンになるはずである。マリア・カラスは天才的な歌手であったが、神話でも伝説でもない。マリア・カラスは、幸せを願い続けた生身の人間、ごく普通の1人の女性であったことも本作は伝えている。

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