今週末見るべき映画「夏時間の庭」

2009年 5月 15日 10:00 Category : Garbo

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いろんな意味で、時代の移り変わりをひたすら美しく描いたフランス映画「夏時間の庭」(クレストインターナショナル配給)を見た。 値打ちのある美術品を数多く残した著名な画家ポール・ベルティエ。パリ郊外の家には、ポールの遺した美術品を守るエレーヌが、ひとりで暮らしている。エレーヌが死ぬ。もう独立した3人の子どもが、大叔父にあたるポールの遺産を相続することになる。絵や花瓶など、高価な美術品がさりげなく飾られ、使われている家。花と緑に囲まれた大きな庭。ゆったりとした環境のなかに、家族三代の移ろいが、静かにくっきりと描かれる。

(C)2008 MK2 SA-France 3 Cinema 監督はオリヴィエ・アサイヤス。この5月、東京日仏学院でオリヴィエ・アサイヤス特集が開催された。2000年に撮った傑作「感傷的な運命」に寄せて、オリヴィエ・アサイヤスは語る。「私の心をつねに揺さぶってきたのは、時の移ろい、そのなかでどのように人間関係が生まれ、壊れるのか、そしてどのように世界が変化していくのか、そしてそこにいる者たちがどのように変化し、物事が消滅していくのかということだ」と。「夏時間の庭」もまた、時の移ろい、人間とそして時代の変化を、あたたかい眼差しで見つめる。 長男は経済学者でパリに住み、次男は中国で就職、長女はアメリカで工業デザイナーをしている。いまはそれぞれ住む場所は異なるけれど、かつては、この家にことあるごとに集まっていたはずである。母が亡くなる。大叔父の遺産相続をめぐっての3人の現実が、静かに、しかし厳しく語られる。過去への愛着を持ちながらも、それぞれがそれぞれの現実と向き合うことになる。

(C)2008 MK2 SA-France 3 Cinema 家に置かれた美術品のほとんどが、オルセー美術館の協力によって、本物を使っている。コローやルドンの絵、ブラックモンの花瓶、ドガの彫刻、マジョレルの机、ホフマンの戸棚などなど。映画の中では、さりげなく飾られ、じっさいに使われている。どれも、ため息が出るほどの美術品たち。 時は移ろい、世代が変わる。それでも変わらないものは何かを、オリヴィエ・アサイヤスは、やさしく問いかける。木漏れ日、夕暮れ、夏の太陽などの美しい映像に彩られながら。家族三代の移ろいを、静謐なたたずまいで切り取った、これはすてきな映画である。

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