今週末見るべき映画「ココ・アヴァン・シャネル」

2009年 9月 18日 10:00 Category : Garbo

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シャーリー・マクレーンがココ・シャネルに扮した映画「ココ・シャネル」に続いて、今度は、オドレィ・トトゥが、ココ・シャネルを演じる。

© Haut et Court - Cine@ - Warnerbros. Ent. France et France 2 Cinema 「ココ・シャネル」は、シャーリー・マクレーンが晩年のココを演じて、若いころを振り返るという構成だったが、オドレィ・トトゥの「ココ・アヴァン・シャネル」(ワーナー・ブラザース配給)は、原題通り、シャネルがココになる前、つまり、ココがファッション・デザイナーとして、大成功を収めるまでの苦難の歴史を描く。 メゾン・シャネルの全面的なバックアップがあり、時代考証や衣装、美術などが、丹念に再現されていて、当時の雰囲気を伝え、見応え十分。ココ・シャネルとは、いかなる女性であったかが、きめ細かく描かれる。 不幸な生い立ちである。裁縫の仕事をしながら、姉とともに、好きな歌の世界で身を立てようとするが、大きな稼ぎにはならない。それでも、歌っているうちに、裕福な貴族と知り合う。囲われの身でありながら、やがて持ち前の個性で、周囲の衣装から多くのヒントを得て、ついにファッション・デザイナーとして名声を得ることとなる。 いちばんの見所は、ココの視線である。のちのファッション・デザイナーとして、成功を勝ち取るまでに、幼いころからのココの視線は、たえず周囲の風景、ことにさまざまな衣装に向けられる。カメラはココの視線をなぞるように、周囲の衣装を捕らえる。 孤児院の制服は、黒のスカートに白いブラウスである。また、孤児院の世話をするシスターの衿やヴェールを、幼いココは、じっと見つめている。 貴族のシャトーでは、乗馬服の合理的な出で立ちに。競馬場では、女性のかぶる派手な装飾の帽子に。出かけたドーヴィルのビーチでは、漁師たちのシャツに。装飾過多の女性の帽子を、シンプルな装飾に留める。華麗だが、コルセットで締め付けていた窮屈な女性の衣装を、着やすく動きやすいものに変える。黒のもつ喪服のイメージを一新する。ボーダーの漁師服からのヒントを衣装に生かす。下着の素材であるジャージーを取り入れる。 お金持ちの男性との交際はあるが、身分の違いでの不幸が続く。それでも、多くの失望を経験した中から、ココは、女性の置かれた立場を、衣装作りを通して、男性と対等になるよう、努力を続ける。そして、ほとんどひとりの力で、自らの運命を切り開いていく。やがて、ココは、革命的な変化を、女性の衣装にもたらすことになる。 もともと達者なオドレィ・トトゥである。ココ・シャネルがどのような女性であったかを、説得力たっぷりに演じる。やたらタバコを吸う仕草は、シャーリー・マクレーンもはまっていたが、オドレィ・トトゥもひけをとらない。メゾン・シャネルの鏡が張り巡らされた、有名な階段でのラストシーンは、圧巻である。 監督、脚本は、「おとぼけオーギュスタン」や「ドライ・クリーニング」など、日本での公開作は少ないが、人物造型に定評のある女流アンヌ・フォンティーヌ。 シャネルは、いわゆるブランドの元となったと言われているが、過去の価値観をひっくり返すほどの努力や工夫があったからこその成功である。学ぶべきは多い。ココ・シャネルの人生を辿ることは、今だからこそ、意味があるものと思われる。

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