日本映画の巨匠「木下惠介生誕100年祭」ラインナップ発表!凱旋上映も

2012年 9月 25日 15:00 Category : News

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 今年の12月5日に生誕100年を迎える、日本映画界の巨匠・木下惠介監督の特集上映「木下惠介生誕100年祭」が11月23日(金)から12月7日(金)まで、松竹と第13回東京フィルメックスの共催企画として、東銀座・東劇にて開催される。このたび、ラインナップ24作品が発表された。世界の映画祭で高く評価された2本の修復版も凱旋上映され、木下作品の知られざる魅力が注目を集める機会となりそうだ。

 『二十四の瞳』(54)や『喜びも悲しみも幾歳月』(57)などの叙情的で涙を誘う作品が敗戦後の日本人の心に響き、興行的なヒットと批評家による評価の両面からも成功をおさめた木下惠介監督。1954年のキネマ旬報ベストテンでは、3位の『七人の侍』(54)をおさえ、1位に『二十四の瞳』、2位には『女の園』(54)が選ばれるなど、戦後の日本映画界を黒澤明とともに常にリードし続けた監督だ。しかし、残念ながら21世紀の現在では、世界におけるクロサワの知名度や日本国内での人気と比しても、決して当時ほどの位置を占めているとは言えない。今回の「100年祭」には、木下惠介が実は革新的なアーティストであり、常に斬新な工夫を追求した、しなやかな挑戦者だったことを、日本国内のみならず世界に向けて紹介していく作品が揃っている。

『二十四の瞳』©1954 松竹

 中でも2本の名作の凱旋上映は見逃せない。今年、世界三大映画祭とも言われるカンヌ国際映画祭とヴェネチア国際映画祭で、木下作品が世界中の“映画の目利き”の前でお披露目された。まず、5月のカンヌ映画祭では、姨捨山の伝説を描いた深沢七郎の原作小説を映画化した『楢山節考』(58)がカンヌクラシック部門で上映された。オール・セットの人工美と歌舞伎の音楽を用いた前衛的な表現で、人間の業と母子の愛を描いている。あのフランソワ・トリュフォーに「神よ!なんと美しい映画だ!」と言わしめた野心的傑作だ。

『楢山節考』©1958 松竹

 また、8月末のヴェネチア映画祭では高峰秀子の弾ける演技がまぶしい人情喜劇『カルメン故郷に帰る』(51)がヴェネチアクラシック部門で上映。同作は日本初の総天然色(カラー)映画であったことからも分かるように、新しい表現技法にも積極的に挑戦するのが木下惠介の作家性でもある。これらの2本は4K解像度(4096×3112)でのスキャンという最新のデジタル修復技術により、映像と音の美しさが蘇ったデジタル・リマスター版での上映。会場に集まった映画のプロたちは、その作品世界の芸術性と高い修復技術に熱狂し、大きな拍手で迎えた。今回の100年祭は、そのデジタル・リマスター版のいわば凱旋上映。劇場の大きなスクリーンでこそ、その美しさが堪能できることだろう。

『カルメン故郷に帰る』©1951 松竹

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