カンヌ・レポート3:河瀬直美監督凱旋、シネフォンダシオンの平柳敦子監督受賞

2014年 5月 23日 10:10 Category : News

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カンヌ映画祭も後半に入り注目作の上映が続く。5月20日には満を持して、河瀬直美監督の『2つ目の窓』(7月26日全国ロードショー)がコンペティション部門に登場。河瀬に加えてキャストたちもレッドカーペットを歩き上映に望んだ。

メインキャストの若い二人、村上虹郎と吉永淳。さらにそれぞれ2人の母役を演じた渡辺真起子と松田美由紀、そして村上の実父の村上淳だ。

©Kazuko Wakayama

ヴィム・ヴェンダース、コスタ・ガブラスなど世界の巨匠も駆けつけた『2つ目の窓』の上映。場内に河瀬の名前がコールされて入場すると、会場のリュミエール大劇場2,000席強を埋めた観客から温かい拍手で迎えられ、これには常連の河瀬も興奮を隠せない様子だった。

『2つ目の窓』は、奄美大島を舞台に描かれた作品。美しく、厳しい大自然に包まれ、高校生の界人(かいと、村上虹郎)と杏子(吉永淳)の瑞々しい初恋を通じ、生命のいとなみが美しく描かれている―。


これまでにカンヌ映画祭の映画の作り手たちへのリスペクトについて触れてきた。そしてこの『2つ目の窓』の公式上映はまさにそのカンヌの度量が発揮された上映となった。

それは、カンヌ映画祭のメイン会場パレ・デュ・フェスティバル(フェスティバル・パレス)の劇場での上映環境にある。映画祭のメイン会場であるリュミエール大劇場と「ある視点」部門の会場ドビュッシー(1,000席強)の映写・音響の環境は定評があり、自作が上映された映画作家にはドビュッシーを「世界で最も優れた映画館のひとつ」と評す者もいるほど。

『2つ目の窓』を彩る紺碧の奄美の海、印象的に描かれるガジュマルの樹と注ぐ日差しの映像と、凪いだ海のせせらぎ、島にそよぐ風の音とが一体となって細部まで場内に響き渡る―観客がその映画空間に身を委ねる幸福感を味わっていく様子が鑑賞中じわじわと伝わってきた。至福の映画体験を噛み締める観客の反応は、上映後の10分におよぶスタンディング・オベーションが、熱狂というより幸せな時を過ごした満足感の証しのように筆者には受け止められた。初回で触れたように、賞は審査委員長率いる9人の審査員の判断ゆえ予測は不可能だが、第67回カンヌ映画祭に確かな足跡を残した常連、河瀬直美の凱旋であった。

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