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カンヌ・レポート3:河瀬直美監督凱旋、シネフォンダシオンの平柳敦子監督受賞

2014年 5月 23日 10:10 Category : News

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シネフォンダシヨンのプログラム全16作品は、4つのグループに分かれて2日間で上映されている。『Oh Lucy!』の翌日5月22日、3番目のグループで早川千絵監督の『ナイアガラ』が上映された。早川は会社に勤める傍ら、2012年の秋から専門学校のENBUゼミナールに通って映画制作を学び、この卒業制作として作った22分の短篇映画だ。

養護施設で暮らすヤマメ(伊丹咲季)は退所も近いある日、施設で自分の生い立ちを知らされる。彼女には実は祖母がおり、しかも祖父は死刑囚として拘置所にいるのだ、と。ヤマメは施設をあとにして、祖母の家を訪れるとそこには認知症の祖母とヘルパーとして彼女をケアする田西(星野慶太)に出会う―。


本作制作に至ったきっかけを聞かれた早川は「元々死刑囚にずっと興味がありました」と話をはじめた。

「閉ざされた空間で過ごす死刑囚。一生外に出られず、自分にあるのは過去の記憶だけで、それを頼りに過ごしている。記憶を呼び覚ます手段として、外の世界で録音された音を聞く、音だけで外界とつながる。そしてその音を送っている誰かとつながり、というような物語のアイディアが頭にあった。このイメージを卒業制作で膨らませられたらと思った」。

死刑囚という、どう描いても重くなるテーマを、外とのつながり、をヒントにじつに軽やかにまとめるあたり、早川の手腕が発揮されている。印象的な音はエンドロールのバックにも響く。上映前の挨拶で、監督は「是非、エンドロールの最後まで観てほしい」と観客に呼び掛けると、観客も監督のリクエストに応え、場内が明るくなるまで耳を澄ませていた。

修了制作にあたり、早川は主演には俳優ではなく、同じ監督コースで学び本人も監督志望の伊丹と星野を主役に起用した。「伊丹さんの顔が大好き。彼女を主役にして作品を撮りたかった。授業でカメラテストがあった時に、彼女にカメラを向けたら表情がとても良かった。演技も撮影の初日の様子をみて安心した」と撮影を振り返る。

早川千絵監督

死刑囚と音にまつわる物語、そしてクラスメートの起用、ここを手がかりに脚本を進めていったという早川。本作では、監督、脚本、撮影、編集と一人四役をこなした。

他の記者からの「いつから映画を撮りたいと思っていたか」との質問に、「小学校高学年から中学の頃からの夢だった」と答えた。また「通っていたニューヨークの大学に行っていた時に、専攻は写真だったのですが映画がやりたくて自分でビデオカメラを回してた」と振り返る彼女は、仕事のかたわら週末や夜間に映画制作を学び、長い時間を掛けて長年の夢を実現させた。しかし自分の監督作がカンヌ映画祭で上映されることまでは、映画監督を夢見た時には想像がつかなかっただろう。彼女の身に起きた現実は、2013年12月に完成させ、半年後にはカンヌ映画祭に堂々と参加している。

カンヌの感想を聞かれて、「大作から小規模の作品まで同等の扱いをしていて素晴らしい」と答えていた。上映後のロビーで、映画監督を目指しているという高校生の女の子の熱心な質問に、真摯に答える姿が印象的だった。

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