カンヌ・レポート4:カンヌとフランス映画、そして並行部門「監督週間」と「批評家週間」

2014年 5月 28日 13:00 Category : News

このエントリーをはてなブックマークに追加

もうひとつの監督週間は1969年の創設。きっかけは同年パリを中心に起きた五月革命がある。フランス映画監督協会の主催で今年は45回目の開催。監督週間は、ソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』、松本人志の『大日本人』、昨年はアンソニー・チェン「ILO ILO」を上映するなど新たな才能を見い出したり、またフランシス・コッポラの作品等ベテランの独創的な作品を上映することもある。日本でも公開間近のアレハンドロ・ホドロフスキーの『リアリティーのダンス』が後者の例にあたる。他に最近の日本映画では、園子温『恋の罪』やこのレポートでも再三触れている河瀬直美のカンヌとの縁のはじまりも、ここが監督週間でデビュー作『萌の朱雀』(1997年)が紹介されたのがきっかけだった。

1969年の創設、監督週間ポスター

今年は長篇の新作ではデビュー作5本を含む18本がプログラムされた。そのうちの1本が高畑勲の『かぐや姫の物語』(あいにく監督は参加せず)。そのほかにも今年亡くなったアラン・レネの作品も上映された。短篇も10作品上映されたほか、特別上映などユニークなプログラムもあった。

審査の合間を縫って、今年のカンヌで部門を問わずにフランス映画を追ったという坂本さん、「監督週間では、今年はThomas Cailleryという若い新人監督の「Les Combattants」という面白い作品に出会ったし、他にはまたキャリアのあるブリュノ・デュモン(『フランドル』)がテレビ用に撮った、彼にしては意外な刑事物のコメディ「P’tit Quinquin」を上映していた。このように、新しい才能や新人でなくともこれまでと違った監督の側面を見せてくれるのがこの部門の特徴。だから並行部門の存在はとても大切なのだと思うんですよね」。

坂本さんはさらに、前回のレポートでも触れたカナダの俊英グザヴィエ・ドランについて次のように語る。

「ドランのデビュー作『マイ・マザー』も2009年に初めて紹介されたのもこの監督週間。その後、続いて「ある視点」部門、そしていよいよ今年コンペティションへのステップアップしていった。最初の一歩は、監督週間だったのです」。

国籍はカナダのドランだが、彼はフランス語を母語とするケベック州の出身で描かれる作品でもフランス語で会話が交わされる(映画製作にはフランスの資本参加も)。よって坂本さんの対象でもあるのだ。

Related article

  • カンヌ・レポート2:「ある視点」。カンヌ映画祭コンペティション以外の部門について
    カンヌ・レポート2:「ある視点」。カンヌ映画祭コンペティション以外の部門について
  • カンヌ・レポート5:カンヌ映画祭閉幕
    カンヌ・レポート5:カンヌ映画祭閉幕
  • カンヌ国際映画祭開幕。「カンヌ」とはいったい何なのか
    カンヌ国際映画祭開幕。「カンヌ」とはいったい何なのか
  • 静岡で「シズオカ×カンヌウィーク2012 ~野外と映画とフランスの3日間~」が開催
    静岡で「シズオカ×カンヌウィーク2012 ~野外と映画とフランスの3日間~」が開催
  • 今週末見るべき映画「2つ目の窓」
    今週末見るべき映画「2つ目の窓」
  • カンヌ・レポート3:河瀬直美監督凱旋、シネフォンダシオンの平柳敦子監督受賞
    カンヌ・レポート3:河瀬直美監督凱旋、シネフォンダシオンの平柳敦子監督受賞

Prev & Next

Ranking

  • 1
    【レポート】第三回ヘンタイ美術館、「理想と現実、どちらがヘンタイか」
  • 2
    グリーン ポルシェ!  パナメーラS e-ハイブリッド
  • 3
    車と人のいい関係。ボルボ V40、デザイナーが語る北欧主義
  • 4
    インタビュー:マリオ・ベリーニ、名作誕生を語る
  • 5
    谷尻誠インタビュー:都心の広場に巨大なジャングルジムが出現
  • 6
    ムービー:軽井沢千住博美術館、西沢立衛設計
  • 7
    iPad、販売台数200万台を突破
  • 8
    レイバンの名作が、ミッドセンチュリー色にパワーアップ
  • 9
    アルフレッド ダンヒル 銀座本店がオープン
  • 10
    アルファ ロメオ 8C コンペティツィオーネが日本国内に

Excite ism :

このエントリーをはてなブックマークに追加