カンヌ・レポート4:カンヌとフランス映画、そして並行部門「監督週間」と「批評家週間」

2014年 5月 28日 13:00 Category : News

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再びカンヌ映画祭本体の話題を最後にもうひとつ。

カンヌを重要な映画祭として機能させているもうひとつの理由に、フィルム・マーケット「マルシェ・デュ・フィルム」の存在がある。1959年に創設されたこの世界最古のフィルム・マーケットは、映画祭のメイン会場パレに隣接するリヴィエラに多く設けられる出展ブースや、周辺の仮設パビリオンやホテルなどで映画祭と併行して実施される。B to Bの商談と、カンヌ市内の映画館やパレ、リヴィエラの試写室で行なわれる試写上映からなる。ここでは、映画祭上映作品とは異なる作品が数多く上映される。前年度の公式発表数字で、「参加企業数は5,049社以上、登録参加者数は11,700人、試写回数は1,341上映」となっており、日本からも多くの映画会社が買付や売り込みに参加する。期間中に大挙して映画関係者が世界から訪れ、注目作の制作発表などのプロモーションも行なわれる。

日本や欧州の国の映画振興機関に聞いたところでは、まず外国映画については、日本含むアジアの買付は好調の様子だった。このレポートで触れる作品の多くは今後日本で公開される可能性が高い。一方で日本映画の海外への売込みについては、ここ数年の欧州の景気の低迷のためと言われていて、実際は不明だが、理由はさておき苦戦を強いられていたようである。フランスは自国映画のみならず、外国映画への合作にも積極だし、外国映画の公開規模も大きいが、今年はとりわけ厳しいという。ドイツは経済大国であっても、元々映画の商業配給は自国映画すら厳しい国ゆえ、こうした国を新たに切り拓くのは極めて難しい。また、日本の小規模映画を公開していたスペインのような国も、不況下の昨今では未だ手がつけられない状況のようだ。

こうしたマルシェでの“裏方”による商談と、これまでに紹介した“表”の顔としての映画祭の取組みが、絶妙にマッチして、数を重ねていくことで、今日のカンヌ映画祭の姿と名声がある。

<関連サイト>
坂本さんがプログラムをしている、アンスティチュ・フランセ東京 映画プログラムの公式サイトはこちら

文/金谷重朗

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